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映画『舟を編む』~辞書づくりに情熱を注いだ人たちの物語

こんにちわ。

今回の映画の話は、思いのほか辛口になってしまいました。

コロンボです。

 

映画『舟を編む』を観ました。

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あらすじ

玄武書房に勤務する馬締光也(松田龍平)は職場の営業部では変人扱いされていたが、言葉に対する並外れた感性を見込まれ辞書編集部に配属される。新しい辞書「大渡海」の編さんに従事するのは、現代語に強いチャラ男・西岡正志(オダギリジョー)など個性の強いメンツばかり。仲間と共に20数万語に及ぶ言葉の海と格闘するある日、馬締は下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)に一目ぼれし……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

  基本情報

  2013年製作 133分 日本

  監督 石井裕也

  主演 松田龍平

  原作 三浦しおん

 

辞書を編纂するというのはとても大変な作業

  この映画は、「大渡海」(だいとかい)という辞書を編さんすることを主題として進みます。とにかく、この作業が大変なのです。広辞苑や大辞林に匹敵するような、それでいて独自色を織り込んだ今までにない辞書をつくる。そのために、みんな奮闘するのです。

 辞書というものを、ここでは大海に浮かぶ舟になぞらえて語られます。

「言葉の海。それは果てしなく広い。

 辞書とは、その大海に浮かぶ一艘の舟。

 人は辞書という舟で海を渡り、自分の気持ちを的確に表す言葉を探します。

 それは、唯一の言葉を見つける奇跡。

 誰かとつながりたくて、広大な海を渡ろうとする人たちに捧げるもの」

 それが辞書であり「大渡海」なのだと。

 辞書を編むこと、それは気の遠くなるような途方もない作業です。20万語を超える言葉を一つの本にまとめなければならないのですから。

 言葉集めも大変です。古い言葉から現代語まで。また、言葉は生きているものなので、日々変化する用法にも対応しなければなりません。

 なるほど、辞書と言うのは本当に編集する人の汗と涙と命の結晶なのだということがよくわかりました。

 

期待をしてたのとはちょっと違ったかも

 三浦しおんの原作は読んでいませんが、ネットなどでも割と評価が高いので期待をして観ることにしました。

 ぼくは、この映画に(自分勝手にですが)、心に染みる、深い河のようなドラマを期待していました。しかし、どうも期待していたものとは違っていて、物足りなさ感が残ってしまいました。

 

 この映画には、悪い人は出てきません。出てくる人はみないい人なのです。ですが、そこがどうも中途半端というか物足りないように感じたんだと思います。

 対立する人ともっとぶつかり合うとか、人間関係がどういうきっかけによって、あるいはどういう時間をかけて変化していくのかなど、そういうものが描かれてないのです。

 どうも断片だけを見せられているようで、そのせいで登場人物のキャラクターが、どこか血の通っていない、作り物のように思えてしまうんですね。

 そのために、作品の中にも深く気持ちが入っていかなかったんだ思います。

    

 例えば、玄武書房の局長(鶴見辰吾)ですが、当初は新しい辞書を作ることに反対していたのですが、後半になるといつの間にか味方になっています。

 また、もっとも腑に落ちないのが、馬締(松田龍平)が宮崎あおい演ずる香具矢に恋をして、その恋の行方はどうなるのか、と言うような流れがあるんですが、そこの決着があまりにもスムーズすぎて、拍子抜けしてしまうんです。

え、なんでそうなったん?

 と、彼女の気持ちの動きや、気持ちの変化の過程もほぼ描かれないので、観る方にとっては、ハテナ?であり、まるで置いてけぼりにされてしまったかのような感じになってしまうのです。

 なので、(ユーモアはあったけど)エピソードとしての盛り上がりのようなもの、あるいは必要性というようなものがどうも希薄に思えてしまうんですね。

 なんとなく、エピソードのひとつひとつがぞんざいな扱いを受けているような、そんな気がしてしまうのです。

 

加藤剛がよかった。

 そんな中で、加藤剛の演技は際だっていました。

 この映画の最大のテーマは、辞書を作るということです。そして、辞書編纂部のトップの松本を、加藤剛が演じています。彼の存在は、この映画では欠かせないと言えます。

    穏やかでありながら熱い情熱を感じさせ、それでいてどこかユーモラスな雰囲気もうまく醸し出しています。そして、彼が出ていると、なぜだかその場面がぐっと締まって見えるのです。

 加藤剛といえば、まじめな役者とか、大岡越前というイメージがまっさきに浮かびますが、やはり味わい深い、素晴らしい役者でした。今年の6月に亡くなってしまったのが惜しまれます。

 

最後に

 この映画の感想として、上にも書いてきたように、物足りないもう少し人間のことを描いてほしかったという思いです。

    前半の、辞書に対する気持ちや情熱を語るあたりは、とてもよかったので、本当に残念に思います。

 

 原作はどうなのかわかりませんが、この映画で伝わってきたのは、辞書を作るのが大変骨の折れる仕事なのだ、と言うことです。

 もしもこれだけ伝わったのならOKと言うのなら、それでいいでしょう。

 ただ、それなら、そのほかのシーンに対して、何かを伝えようと懸命に演じてきた役者の努力が報われないようにさえ感じてしまうのです。

    宮崎あおいは、ぼくはとてもいい女優さんだと思うんですが、その良さも全然生かせてないように思えてなりませんでした。

 

 こんなにマイナスなことばかり書くつもりではなかったのですが、書いているうちにそうなってしまいました。

     辞書編さんにかける情熱を描いた、いい作品でもあったんですけどもね。

     観る前に、期待を大きく持ってしまったのがダメだったのかもしれませんね。

 

では。

 

コーヒーを飲もう。